LOGIN愛鹿のアルバイトから帰宅後。すっかり昼飯に食べたチャーシュー麺を消化しきった皇は薊の作ってくれたオムハヤシを食べていた。
「って、ことが昼に合ったんだが……AWM以外にそんなに稼げるゲームってあるのか?」
話題は昼の嬉嬉軒での話。夫婦で営んでる店で、みたいな鉄板話は置いておいて、その娘さんの話に移っていた。
「ん~~~……」
薊も自分で作ったオムハヤシをスプーンで割っては食べながら言う。
「ねェな。新進気鋭のゲームも俺はチェックしてるが、そんな大金が毎月稼げるゲームなんてまずAWMだろ」
そんな薊の言葉に納得はしてしまう。そんな大金をぽいぽい稼げるゲームが大量にあったら、今頃日本は億万長者だらけになってしまう。
「……つってもよぉ」
薊がスプーンの先をくるくると回しながら言う。
「プレイヤーIDも本名も電話番号も分かんねェんだろ?」
それは言外に手
———翌日。 その日も皇は自転車を走らせていた。太陽が燦々と輝くけど、まだ酷く暑い訳ではない。そんな塩梅の気温。 皇は半袖チノパンというラフなスタイルで自転車を漕ぐ、向かう先はもちろん———嬉嬉軒であった。---------------------------------------------------------------「こんちわー」「お、らっしゃい!」「今日も来てくれたのねぇ」 嬉嬉軒にいつものように入店すれば、すっかり皇の固定位置となったカウンター席に腰かける。 おばさんがいつも通りメニューを渡してくれる、が、今日の皇は一味違う。今日は銃姫がおすすめしてくれたメニューを頼む気満々だった。 皇は片手をあげる。もう頼むメニューは決まっている、と。「お、今日は迷いがないねえ」「此処の常連さんらしき人におすすめメニューを聞いたんですよ」「おや、誰だろう。それもゲームの中で?それともえすえぬえす?」「ゲームの中で、ですね。めっちゃいい人からのおすすめだったんで、是非食べたくて」 そう言うとおばちゃんも「誰だろうねえ」と楽し気に笑ってくれた。 そして、おばちゃんが注文用のメモを取り出したのを確認して言うのだ。「天津飯1つ!」 だが。その言葉を言った瞬間、空気が凍る。皇の注文のメモを取ろうとしていたおばちゃんも鍋を振っていたおっちゃんも動きを止めた。(あれ……?) なんか不味いこと言ったか?そんなことを思いながら、この気まずい空気を払う方法を探す。だが、最初に声をあげたのは皇よりも先におばちゃんだった。「どうして……どうして、天津飯を頼もうと思ったんだい?」「え……」 そこで昨日の夜のAWM内での出来事を話す。銃に姫と書いて、ジュウキと読む少女に此処の天津飯を
「男性の精液って思ってるよりでないわね」「ぶっ」 ヴィクトは飲んでいた水を吹いた。ベッドの上で散々ヤったあとのピロートーク。それはド下ネタに塗れていて。「……まあ、異性の体のことだしな」「ええ、てっきり子宮までパンパンになっちゃうぅぅう、みたいなのを想像していたのだけれど」 真顔でそう言うこと言うの本当に双鹿だな、という感じがした。感慨がない、半端ない棒読みだった。「そんな量が人間の体の中に内蔵されてると思うか?」 そんなヴィクトの問いかけに、双鹿の視線がヴィクトの顔から下がる。そして、ちんぽ……と言うか多分、金玉を見て言うのだ。「フッ……そうね」 今鼻で笑ったな?(俺のはちんぽも金玉も小さい方ではないんだぞ????) なんだか無性に腹が立って。ヴィクトはペットボトルをサイドテーブルに置いた。「あら、どうしたの?」「いや、分からせる必要があるな、と」 そうヴィクトはもう一回、双鹿の上に覆いかぶさるのだった。 そう、ヴィクトが双鹿の顎を掴み上を向かせる。双鹿の視線は処女を奪われたというのに、その快楽への期待で満ちていて。 これを満足させるのは相当骨が折れるぞ、そんなことをぼんやりと思いながら、ヴィクトは精液と愛液でぬるぬるとしてる双鹿のまんこにちんぽを宛がうのだった。
銃姫から齎されるクロムの情報に震えていれば、銃姫の底抜けに明るい声が響いた。『まあ、クロムってそんなに現れるプレイヤーじゃないし、今は置いておいてぇ……ヴィクト、暇?なんかこの後約束あったりする?』 そんな問いかけ。ヴィクトは「んー」と少し考えて言うのだ。本日の予定、0。「ないな。今日はアザカもいねーし、デストロイアを見て回ろうと思ってたんだ」『あ、じゃああたしが案内してあげようか?クロムを退けたプレイヤーとは是非仲良くなりたいんだよね~』 下心はありますよ、そう公言する銃姫。そんな銃姫のさっぱりとした態度には好感が持てた。「じゃ、頼むわ。俺も統治者様とは仲良くなりたいんでゲスよ~へっへっへっへっ」 そう態とふざければ銃姫は更に笑って。『別にイベント有利になったりしないからねー。じゃあ、そっちに行くから待っててー』 そんな会話を最後に通話が切れる。そうして、ヴィクトがその場で待つこと数十秒。目の前に、光の粒子が舞い足元から銃姫が構成される。「お待たせ、ヴィクト」「いや、全然」--------------------------------------------------------------- ———武装学園・デストロイア。メインビル。 まず連れていかれたのはメインビルと呼ばれている建物だった。「基本的にオーダーメイドじゃない武器とかは此処が一番品揃えがいいかな。銃弾とかも売ってるよ」「ほうほう……デストロイアでは銃で戦うのが推奨されてるのか?」「んー推奨って程じゃないけどぉー……あ、試しにその剣抜いてみなよ」 そんな銃姫の言葉に首を傾げながら剣を握る。そして、引き抜こうとすると。「うわっ、な、……え、エラー?」 目の前に現れるシステムウィンドウ。システムウィンドウには「このワールドではこの武
イベントまで1週間。AWM内での生活も大事だが、同じぐらい現実での生活も大事だった。 最近はすっかり嬉嬉軒の常連となり、出勤前の昼飯は嬉嬉軒のラーメンや炒飯になっていた。 そんな、出勤日———。---------------------------------------------------------------「くさい」「え」「油の臭いが凄いのよ、最近」 いつも通りのおかえり、ではなく、ドアを開けたそこには消臭スプレーを持った愛鹿が居た。愛鹿は鼻を摘まんで、眉を寄せて、皇に消臭スプレーを向ける。 皇が荷物を下ろして両手を開けば、シュッシュッと消臭スプレーを吹きかけられる皇。 最近こんなことがあったような、という既視感を覚えていれば愛鹿が言う。「今度からは自分でやって頂戴。玄関にスプレー置いておくから」「了解しました……」「全く、私までお腹すいちゃうじゃない」 分かる。嬉嬉軒の匂いはとてつもない飯テロだ。それを言われて、愛鹿に悪いことをしたなあ、なんて思いながら部屋に入っていく。 そうして振られる今日の業務。「今日はあっちの部屋に作品を移動させてあるから、リストを見ながら梱包して頂戴。私はちょっと休憩してから作業に戻るわ」「じゃあ、俺もそのタイミングで作業に行こうかな」「じゃあ、お茶。お茶請けは今日はシベリアがいいわ」「あいよ」 荷物を部屋の端に置いて、キッチンに抜けていく。いつもの要領で電気ケトルでお湯を沸かしながら、シベリアを切り分けていく。そうして、できたものからカウンター越しに愛鹿に渡して行き———。 愛鹿と皇の前にシベリアの乗った皿と緑茶の入ったマグカップが置かれる。「「いただきます」」 そんな言葉を皮切りに皇は美味しいシベリアを口に入れて気づいた。「そういえば、愛鹿」
少女を先頭に街を歩く。そして、少女がとあるビルの2階に上がっていく。「ここだよ」 そう少女が指し示したのは「夕暮れのBar」と書かれた扉。「え、此処Barだぞ……?その……えーと……」 女性に年齢を聞くのはあまりにも失礼。だが、同時にBarに未成年を入れていいものか悩んでしまう。 そんなヴィクトに少女はまたぷっ、と吹き出した。「おにーさんが心配しているようなことはないよ。あたし、22歳」「……若く見えるっスねえ!」 もうそう言うのが限界だった。女性の前で陰キャくんには残念ながら人権はないのである。「よく言われる。マスター、ちわー」 そう言ってBarに入っていく少女の後ろをついていく。「あら、いらっしゃい姫ちゃん。そっちは?」「あたしが絡まれてるのを勇敢に庇ってくれた騎士様たち」 そう少女がヴィクトを親指で指さす。すると、Barのマスターらしき女性は驚きに目を見開いて言うのだ。「助けた……????姫ちゃんを……???」 きょとんとして。そして、少女はカウンター席に腰かければ豪快に笑いながら言うのだ。「笑えるでしょ?デストロイアの統治者の銃姫《じゅうき》を助ける……絶対にルーキーでしょ!」(ん?今……) 目が点になる。そして、恐る恐るアザカを見れば———。「まあ、そういうことだなァ」 ヴィクトは静かにその場に膝をつく。膝をついて、三つ指をつき。「舐めた真似してすみませんでしたァ!」 そんな謝罪。もう心の奥底からの謝罪。「統治者様だとは露知らず、本当に舐めた真似を……」「いやいや!顔上げて!」
愛鹿のアルバイトから帰宅後。すっかり昼飯に食べたチャーシュー麺を消化しきった皇は薊の作ってくれたオムハヤシを食べていた。「って、ことが昼に合ったんだが……AWM以外にそんなに稼げるゲームってあるのか?」 話題は昼の嬉嬉軒での話。夫婦で営んでる店で、みたいな鉄板話は置いておいて、その娘さんの話に移っていた。「ん~~~……」 薊も自分で作ったオムハヤシをスプーンで割っては食べながら言う。「ねェな。新進気鋭のゲームも俺はチェックしてるが、そんな大金が毎月稼げるゲームなんてまずAWMだろ」 そんな薊の言葉に納得はしてしまう。そんな大金をぽいぽい稼げるゲームが大量にあったら、今頃日本は億万長者だらけになってしまう。「……つってもよぉ」 薊がスプーンの先をくるくると回しながら言う。「プレイヤーIDも本名も電話番号も分かんねェんだろ?」 それは言外に手出しができないことを指摘していて。薊の言う通りであった。プレイヤー照合の情報さえあれば、ゲーム内で接触はできるだろう。 だが、そのために本名と使っているであろう電話の番号教えてください、はちょっと不審者が過ぎる。まず、今日出会ったばかりだ。 つまり、皇にはどうしようもなかった。「ないなー……はー……」「家族コンプで首ツッコむのもいいけどよォー、てめぇが余計なおせっかいをしたところで好転するどころか自体がややこしくなる可能性もあるんだぜ?」 薊のドのつく正論が皇を襲う。本当にその通りだった。 あのような暖かい家族が羨ましくて声を出してしまったし、暖かい家族に戻ってほしくて首をツッコもうとしてる。これを、家族コンプレックスと言わずしてなんと言おうか。 もしかしたら、当人たちからすれば今の平穏が一番いいのかもしれない。「だよな……まあ、向こうから助けてくれって言われない限りは余計なお